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形成外科
常磐地域全体でリンパ浮腫の専門的治療を行っている病院は少なく、その中でも当院は外科治療と理学療法士による複合的理学療法を組み合わせた治療ができるため、包括的かつ適切な治療を提供できると考えています。
スタッフ紹介
菊池 和希 形成外科部長
プロフィール
2006年鳥取大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院(東京大学医学部形成外科助教)、旭中央病院での勤務を経て2014年から現職。専門はマイクロサージャリー、リンパ外科、美容外科。日本形成外科学会認定形成外科専門医
患者さんへメッセージ
診療で大切にしているのは、患者さん一人ひとりの訴えをよくお聞きすることです。その上で、さまざまな治療の選択肢を提案するようにしています。整容面に関わることは、必ずしも「これでなければならない」という答えはありません。患者さんによって感じ方や捉え方が違うのが当たり前です。骨を切るような手術を選ぶのか、注射や薬剤でできる程度にとどめるのか。患者さんの希望に合わせて、オーダーメイドの医療を提供したいと考えています。皮膚腫瘍も扱う形成外科では、できものなどで心配して来られる方が多くいらっしゃいます。「ほくろやしみが盛り上がっている」、「大きさや形が変わる」など大きな変化があった場合は、形成外科の受診をおすすめします。
主な治療内容
主な治療内容
リンパ管静脈吻合術とはリンパ浮腫の治療法の一つで、リンパ管と静脈のバイパスを作り皮下組織に溜まったリンパ液を静脈に流すものです。低侵襲で傷跡が小さいのが特徴です。従来はストッキングなどで圧迫して症状を抑える治療しかありませんでしたが、当治療法の開発によって高度に進行する前であれば根治をめざせるようになってきています。当院ではリンパセラピストによる複合的理学療法と組み合わせることで、さらに効果を高めています。
重症化すると皮膚の感染症や歩行障害に至る場合もあり、早期の治療開始が大切です。
パンフレット
1.スキンケア
日常的に皮膚の状態を確認し、「皮膚の潤いと清潔を保つこと」と「外的刺激から皮膚を守ること」の2つの面からケアを行います。患肢の炎症、傷や熱感、発赤等が起きていないか、チェックが大切となります。2.医療リンパドレナージ
ゆっくりとしたマッサージ法で、患肢に貯留したリンパ液を正常に機能するリンパ管へ誘導するものです。また、セルフドレナージをすることにより、ご自身で肌に触れて、肌の変化を把握していただくことも大切です。3.圧迫療法
リンパ浮腫や静脈性浮腫を改善する上で重要な治療法です。弾性ストッキング等で外から圧を高め、体液やリンパ液が細胞の間に漏れたり溜まったりすることを防ぎます。4.圧迫下での運動療法
圧迫療法を行った上で運動を行うことにより、筋ポンプ作用が高まり、リンパ液や細胞の間の体液の排液が促進されます。5.セルフケア指導
セルフケアを行うことにより、治療の効果を持続させ、症状の重症化を防ぎます。また、自分の体に触れることで小さな変化に気づきやすくなり、炎症などの合併症や悪化を防ぎます。日時
※予約は当院形成外科受診時にお申しつけください。
料金
複合的理学療法 | 60分 8,640円 |
---|---|
4回 回数券 | 60分×4回 32,400円 |
弾性包帯、弾性着衣調整 | 1回 1,000円(税込み1,100円) |
担当者
松森 しのぶ
理学療法士、リンパドレナージ担当高橋 成美
理学療法士、リンパドレナージ担当パンフレット
顔面骨骨折は結膜や口腔内などからプレートを入れるなど、傷跡が極力目立たないように治療する
Ⅲ度熱傷でひきつれが強く運動障害が残っているため、筋肉や皮膚の移植術を行う治療がある
鼠径部の悪性皮膚腫瘍を切除後、周囲の皮膚を移動して被覆し、ひきつれや瘢痕が目立たないように治療
埋没耳でマスクやメガネなどかけられない症例で、耳介の形成処置と後面から皮膚の移植を行い形態を修正します。
シミやイボなどは軟膏やレーザー治療を中心に実施
治療実績
集計期間 | 2019年1月1日~2019年12月31日 |
形成外科 | 新患者数 824 |
形成外科 | 入院患者数 216 |
入院 | 外来 | 計 | |
---|---|---|---|
全身麻酔での手技数 | 32 | 32 | |
腰麻・伝達麻酔での手技数 | 31 | 31 | |
局所麻酔・その他での手技数 | 185 | 715 | 900 |
入院または全身麻酔の手技数計:248 | |||
外来での腰麻・伝達麻酔、局麻・そのほか手技計:715 | |||
合計系数:605.5 |
※件数の条件
- 入院手術または全身麻酔手術の手技数の合計が認定施設150以上、教育関連施設80以上であること
- 「入院手術または全身麻酔手術1例を系数1.0」、「外来での腰麻・伝達麻酔、局麻・その他1を系数0.5」とした場合の合計係数が認定施設200以上、教育関連施設130以上であること
疾患大分類手技数 | 入院 | 外来 | 計 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
全身麻酔 | 腰麻・伝達麻酔 | 局所麻酔・その他 | 全身麻酔 | 腰麻・伝達麻酔 | 局所麻酔・その他 | ||
外傷 | 17 | 4 | 246 | 267 | |||
先天異常 | 6 | 4 | 10 | ||||
腫瘍 | 11 | 9 | 28 | 367 | 415 | ||
瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド | 1 | 3 | 4 | ||||
難治性潰瘍 | 1 | 4 | 4 | 21 | 30 | ||
炎症・変性疾患 | 3 | 18 | 116 | 64 | 201 | ||
美容(手術) | 6 | 6 | |||||
その他 | 26 | 4 | 30 | ||||
Extra レーザー治療 |
紹介医療機関の先生方へ
当院は地域に密着した病院ですが、レベルの高い医療を提供できるように常に先端の知識をアップデートし続けています。国際基準の治療に努めていますので、安心してご紹介いただければと思います。特にリンパ浮腫に関しては、診断自体が困難な場合も多いため、疑わしい場合でもご紹介いただければと思います。患者さんの病態に合わせた複合的な治療で、リンパ浮腫の根治をめざします。またけがややけど、皮膚腫瘍の治療など一般的な症例ももちろんお引き受け致します。ご遠慮なく当院にご紹介ください。